消しゴムはんこの歴史

消しゴムはんこの歴史

消しゴムはんこの歴史

消しゴムを彫ってインクをつけてスタンプにして捺すという遊びは、戦後の昭和時代中期より子どもたちの間で古くから親しまれてきました。現在、消しゴムとして世界で主流となっている「プラスチック字消し」は、1959年に日本のシードゴム工業(「ほるナビ」を製造販売する現在の株式会社シード)が開発しました。

1983年、日本で初めての消しゴムをスタンプにして楽しむ本として「勝又有子さん」が『手づくりスタンプ550』を出版。1990年代に入ると雑誌で有名人の似顔絵の消しゴム版画と辛口のコラムを掲載していた「ナンシー関さん」の活躍により「消しゴム版画」という言葉が世間一般に知られるようになりました。1995年には日本で初めての専用消しゴムとして「はんけしくん」がヒノデワシ株式会社より発売されます。90年代後半には絵手紙ブームとともに「消しゴム印」も絵手紙愛好家の間で親しまれるようになります。

「消しゴムはんこ」「消しゴムスタンプ」という言葉が浸透しはじめたのは2000年代中期からで、2002年にナンシー関さんが逝去し「消しゴム版画」という言葉が再び注目を集める中、2003年秋に消しゴム印を繰り返し押印してアートとして表現する「山田泰幸さん」による技法書『四季の消しゴムスタンプ』が出版されたことを皮切りに、様々なハンドメイド作家による「消しゴムはんこ」の関連書籍が多数出版され、2006年~2009年頃にかけてホビーやハンドクラフト界に「第一次消しゴムはんこブーム」が日本で局地的に流行しました。2006年秋には二層のカラーになっている専用消しゴム「ほるナビ」も株式会社シードから発売、彫っている部分がわかりやすいよう薄い色つきの層になっている画期的な消しゴムは、その後各社から発売された専用消しゴムにも大きな影響を与えました。







2000年代後半には、個人ブログのブームに加え、インターネットオークションや販売サイト、ハンドメイドイベントなどの活性化により、オリジナルの消しゴムはんこを販売するクリエイターが多数出現し「消しゴムはんこ」はハンドメイドの人気ジャンルとしての地位を確立しました。2007年からはじまったスタンプ専門イベント「スタンプカーニバル」でも、消しゴムはんこ作家の出展が多数を占めていました。

2010年代に入ると、JESCA日本イレイサースタンプ振興会(現・JESCA日本イレイサースタンプ協会)が誕生。消しゴムはんこ・消しゴム版画などを総称する新しい呼び方として「イレイサースタンプ」という呼称が浸透しはじめ、2012年より講師資格制度が本格的に整備されたことにより、2013年には全国各地のカルチャーセンターでレッスンが立て続けに開講しました。また、消しゴムはんこサークルも全国に急速に増加したことでテレビや新聞等のメディアで取り上げられることが増え、SNSの普及で自作の消しゴムはんこを投稿する人が増えたこともあり、2013年頃からを「第二次消しゴムはんこブーム」と呼ばれています。

第二次ブームからは、SNSの普及により日本のみでホビー人口が増えていたイレイサースタンプが香港・台湾などの中華圏や、フランスをはじめとするヨーロッパ各地でも注目されるようになりました。そして、ダイソー、セリア、キャンドゥなどの大手100円ショップでも専用消しゴムが販売され、道具や材料が手軽に入手できる環境が整ったことで、子どもから大人まで楽しめる身近なホビーとして、楽しむ人が増え続けています。

2010年代後半には消しゴム版画の国際的な呼称が「イレイサープリント」「イレイサーカットプリント」と呼ばれるようになり「イレイサースタンプ」とは海外でも分けて定義されるようになりました。現在は彫った消しゴムをスタンプとしてインクをつけて紙などの上に「捺す(押す)」ものを「消しゴムはんこ」「消しゴムスタンプ」「消しゴム印」「イレイサースタンプ」、彫った消しゴムを版画としてインクをつけて紙を乗せて上から「摺る(刷る)」ものを「消しゴム版画」「イレイサープリント」と定義されています。


消しゴムはんこ年表

1959年-2005年 黎明期
2006年-2016年 ブーム期
2017年- イノベーション期


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制作・著作:JESCA日本イレイサースタンプ協会