消しゴムはんこファンの皆さん、ごきげんいかがでしょうか?国際イレイサースタンプ品評会開催委員長の中鉢久夫です。
シリーズでお送りしています「第3回品評会受賞者インタビュー」。8月13日にご紹介しました「HAROKELLOGG ひろせはなこさん」のインタビュー前編に続き、今回は後編をご紹介します。
※インタビュー前編はこちら↓
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
制作で大事なことは・・・
― 続いて作品の制作についてお伺いします。今回出品されたようなはがきサイズの作品を制作する場合、一般的なサイズの消しゴムはんこを制作する際とどのような点が異なり、どういった注意を払いながら制作されたか教えていただけますか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
大きな作品なので、触っている間に転写した線がよれてしまわないように、紙を巻いて、少しずつ剥がしながら彫るようにしました。大きなサイズの消しゴムを回しながら彫ることにはまだ慣れなくて、それについてはまだ解決策が見つかっていません、回数を重ねるしかないのかなと思っています。
― ということは、まだまだ改善の余地があるということですね。それから、はがきサイズの大きな作品を制作する場合、どの場所から彫り始めてどのように彫り進めるのかを、印面への転写が完了した時点であらかじめ決めているのでしょうか? それとも、その時々の思い付きで彫り進めていくのでしょうか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
失敗した時のダメージを減らすために、1番難しい所から彫りはじめます。
今回は顔でした。人間の顔はすごく難しくて、0.1mm… いえ、それよりもっと小さなズレでも表情が変化してしまうので…。
― それ、すごくよくわかります!
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
なので、今回は顔から彫りはじめること以外は特に決めてはいません。彫り残しがないように上から下に順番に進めていきました。
― ちなみにデザインのアイデアと図案の作成から作品の完成までどのくらい日数を要しましたか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
アイデア自体は2ヶ月くらいずっとあたためていました。実際に図案に描き始めてからはかなり急ぎ足で…1週間なかったと思います。もうちょっと時間に余裕を持とう…と後悔しました…(´・ω・`)
― かなりタイトなスケジュールでの制作だったんですね。では、制作過程において苦労した点や苦心したことはありませんでしたか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
夢中になって深夜まで彫っていたら途中で集中力が途切れて、有り得ない彫り間違いをして、2回やり直しました…。
― え? 2回もやり直しを、ですか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
はい……。1枚目は4分の3くらい彫り進んで失敗、2枚目は半分くらい…。諦めて充分に睡眠をとって、3枚目でやっと完成に漕ぎ着けました。
徹夜は良くないですね…睡眠大事です。
― おっしゃるとおりです、無理は禁物ですね…。ところで今回の作品ですが、一般的な消しゴムはんこの制作と同様にトレーシングペーパーに図案を写し取って消しゴムに転写するというスタイルで行ったのでしょうか? それとも、他の方法で行いましたか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
一般的な、トレペに手書きでうつす方法です。
ただ、どうしても原画からのズレが出てしまうのが気になっていて、次回から除光液転写にチャレンジしたいと思っていますが、除光液転写がものすごく下手なのでこれから練習します…;)
制作ツールと今後の活動
― 続いて制作に使用している道具についてお伺いします。第2回品評会最高金賞受賞インタビューでは、長年愛用されているデザインカッター使用されているとお話されていましたが、最近オルファ・アートナイフプロに持ち替えたとお聞きしています。今回の作品も主にアートナイフプロを制作に使用されたのですか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
はい!あっさりと持ち替えました!
今回の作品にもオルファのアートナイフプロを使っています。
― あっさりと、ですか(笑)。では、プロの消しゴムはんこ作家として活動されているひろせさんの視点で、アートナイフプロの使用感というのはどのような感じなのでしょうか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
刃先が鋭角で細く、刃渡りが長いのが利点だと思います。たとえるなら自分の手が伸びたような…届きにくかった所に楽に届く感覚が気持ちいいです。
― それはいいですね。
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
そして小回りが利くので、今までは一度刃を抜いて対応していたような角も、抜かずにそのまま彫り進む事ができるようになりました。刃渡りが長いので、カッターナイフに持ち替えずに面取りまでできます。
― 作業工程を少なくできることは作品制作時にストレスを感じなくなることにもつながりますし、刃を入れる回数が少なければそれだけ印面をきれいに仕上げることができますよね。
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
そうなんです。ただ、刃先が細い分安定しないので、上手く使うには練習が必要かもしれません。
― なるほど。使うことによるメリットが多い分、やはり相応の技術が要求される…ということですね。ちなみにひろせさんの彫り方のタイプを教えていただけますか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
置き彫りで刃を手前に引いて彫っています。
― ありがとうございます。では、図案の作成やトレースなどに使用している筆記用具はどのようなものを使われていますか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
トレースに使う筆記用具は、0.3、0.5、0.9のシャープペンシルを揃えて、線の太さによって使い分けています。それとあわせて、トレースするとき用の消しゴムには『MONOノック3.8』を使っています。ペンタイプの繰り出し式の消しゴムなのですが、トレーシングペーパーに2Bで書いた濃い線も、伸びずにキレイに、狙った箇所だけ消す事ができるので超オススメです。
― ペンタイプの消しゴムですか!それは細かい部分の修正にもってこいですね。今お話しいただいた道具以外に、「これは欠かせない」というアイテムはございますか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
図案の作成には iPad Pro を使っています。ここには色々こだわって図案を描きやすいように工夫をしています。iPadについては、5月に主催した消しゴムはんこ作家さん向けのiPad講座が好評だったので、秋頃にまた開催したいと思っています。
― それは楽しみですね。ところで、ひろせさんは消しゴムはんこ作家として、普段どのような活動をされているのか教えていただけますか? また、公式HPやSNSアカウント、そしてイベントへの出展情報なども教えていただければと思います。
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
ありがとうございます。
普段の活動としましては、イベントやグループ展へ出展したり、個展を開いたりしています。
私はイラストレーターとしても活動していて、自分の中で絵と消しゴムはんこの境目が明確ではないので、ちょっと混ざってしまうのですが…現時点で出展が決まっているイベントや展示をご紹介します。
◆あし展スピンオフ:
十条 「カフェ梅の木」 9/13〜10/3(カフェでの個展です。イラストの展示、グッズ、消しゴムはんこの展示販売等)
◆ミートカフェマルシェ:
10/20 千葉県野田市(手作りのグッズ販売イベントです、友人との共同出店になります)
◆スタンプカーニバル:
9/29・30
◆デザインフェスタ:
11/10・11
◆けしごむはんこヴィレッジ:
12/ 9
他に『HAROKELLOGGの消しゴムはんこもくもく会』と称して、みんなで消しゴムはんこを彫るイベントを月に2回主催しています。そして、先ほどもお話した消しゴムはんこ作家さん向けのiPad講座も開いています。詳細とご予約はこちらで受け付けております。
https://keshihan.doorkeeper.jp/
ウェブサイトと各種SNSはこちらです。
WEB:http://www.harokellogg.info
minne:https://minne.com/@harokellogg
blog:http://harokellogg.hateblo.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/harokellogg/
Twitter:https://mobile.twitter.com/harokellogg
― たくさんの情報をありがとうございます。とてもタイトなスケジュールで個展やイベント出展、そして独自企画の講習をこなしながら、SNSでの情報発信もしっかり行っていらっしゃるんですね、素晴らしいです!
では、最後に今後の活動予定や消しゴムはんこ作家としての目標などをお聞かせください。
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
通信販売を充実させたり、オーダーを受け付けるためのサイトを作ったり…と、やりたいことはいっぱいあるのですが、対面販売にも力をいれたくて、もっと頻繁にイベントに参加したいと思っています。
作家としての目標は、絵のように自由な…でもそれだけではなくて、それを消しゴムはんこで表現することに意味がある…そんな作品を作れるようになりたいです。
― 今後のさらなるご活躍を期待しております。本日はありがとうございました。
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
ありがとうございました。
「第3回国際イレイサースタンプ品評会」のエントリー募集をしている際に、第2回品評会で最高金賞を受賞し頂点を極めたはずのひろせさんからエントリーがあったことを疑問に思っていたのですが、今回のインタビューですべての疑問を解明することができました。
ご自身の消しゴムはんこ制作スキルの向上のためたゆまぬ努力を重ねつつ、ハンドメイドホビーの原点ともいえる「作る楽しさ」を決して忘れることなく創作活動に打ち込む真摯なひろせさんの姿を、今回のインタビューを通してはっきり見ることができた…そんな気がします。
お忙しいところご回答いただきましたHAROKELLOGG ひろせはなこさん、本当にありがとうございました。そして、金賞ならびに山田泰幸賞のダブル受賞、本当におめでとうございました!
「HAROKELLOGG ひろせはなこさん」のより詳しい情報はこちらから!
公式HP:http://www.harokellogg.info
minne:https://minne.com/@harokellogg
blog:http://harokellogg.hateblo.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/harokellogg/
Twitter:https://mobile.twitter.com/harokellogg
(国際イレイサースタンプ品評会開催委員長 中鉢久夫 / 2018年8月15日配信)