「ひろせはなこさん」金賞受賞者インタビュー 前編
消しゴムはんこファンの皆さん、ごきげんいかがでしょうか?国際イレイサースタンプ品評会開催委員長の中鉢久夫です。
6月17日に開催された「第3回国際イレイサースタンプ品評会」の受賞作品発表後、最高金賞ならびに金賞を受賞された作家の皆様にインタビューを行いましたのでご紹介したいと思います。
今回エントリーされた作品の制作秘話や苦労話、そして普段の作家としての活動や今後の展望について等々、消しゴムはんこへの強い想いをひしひしと感じる、とても中身の濃いお話をたくさんお聞きすることができました。
シリーズでお送りする「第3回品評会受賞者インタビュー」。今回は、第2回品評会の最高金賞受賞者で、第3回品評会においても金賞ならびに審査員特別賞となる山田泰幸賞のダブル受賞に輝いた、エントリーナンバー28番「HAROKELLOGG ひろせはなこさん」のインタビュー前編をお届けします。
HAROKELLOGG ひろせはなこさん
絵を描く時のように消しゴムはんこにも心情をのせて
― この度は金賞受賞本当におめでとうございます。第2回品評会の最高金賞に続き2回連続の受賞で、さらに今回は審査員特別賞となる山田泰幸賞も受賞されました。受賞についての感想をお聞かせいただけますか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん:
素敵な賞を2つもいただけましたこと、とても嬉しく思っています。
エントリー作品はどれもとても素敵で、私も会場でとてもとても悩んで3票を投票したので、同じように悩んだ末に私の作品を選んでいただけたのかと思うと本当にありがたく、応援していただけたことが何より嬉しく感謝の気持ちでいっぱいです。
― ひろせさんは第2回品評会から連続エントリーを継続していますが、エントリーを続ける理由をズバリ教えていただけないでしょうか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん:
エントリーする理由ですね。
私は普段、自分の技術力の範囲内で作れるものを作って満足してしまうんです。品評会に参加すると普段作らない大きな作品難しい作品に取り組めますので、それが技術力UPにつながると思って参加しています。
― なるほど、ご自身の制作技術向上のためにエントリーを継続されているんですね。では、いちばん初めに品評会にエントリーしようと思ったきっかけというのは何だったのでしょうか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん:
品評会の事は第1回の受賞者さん達の投稿をInstagramで拝見して知りました。どの作品も素敵で、個性的で似たような作品が一つもなくて、作家さんそれぞれの世界が表現されているのを見て、私もその時の精一杯の力で、自分の作品を作ってみたいと思いました。
― 今「作家さんそれぞれの世界」というお話が出ましたが、ひろせさんが今回制作したエントリー作品にも、第2回品評会で最高金賞を受賞した作品と同様にしっかりとした世界観とストーリー性が盛り込んであるように感じました。今回のエントリー作品のテーマと作品に込めた想い、そして作品が持つ世界観について教えていただけますか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん:
絵を描く時に心情を表現するように、消しゴムはんこにも心情をのせられないかな…と、悲劇のヒロインであるオフィーリアを題材に選びました。お花をたくさん彫りたくて…という単純な理由もあります (^^
― 作品に心情をのせる…イラストレーターとしても活躍されているひろせさんらしい試みですね。ところで、「オフィーリア」というのは?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん:
シェイクスピアの戯曲『ハムレット』の登場人物で、ハムレットの妃候補です。裏切りと悲劇に絶望し、狂気に落ちて水死してしまう悲劇のヒロインで、古くからたくさんの画家が描いています。
狂気の表現として髪に野の花を飾り、花を配る描写があるので、花にまみれた姿で描かれることが多いようです。
― なるほど。
HAROKELLOGG ひろせはなこさん:
そして心臓の位置にちょっと気持ち悪い花芯の芍薬を置くことで、内に秘めた「ぐじぐじした悲哀」を表現できないかなと…。
― そのような世界観をモチーフとして盛り込んだ作品だったんですね。説明をいただいて改めて作品を拝見すると、ほんのり漂う悲哀というか…悲壮感のような雰囲気も感じられますね。ところで、作品のメインとなるオフィーリアをあえて上下逆さまになるようにレイアウトしたのも、何か意図があってのことなんでしょうか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん:
長い髪が水にたゆたって、持っていた花束がばらばらに散っていく…水中に落ちて沈んでいく場面を表現したくて頭を下にしました。
もうひとつ、構図がちょっと変わっていたら、会場で目を引いて、皆さんに立ち止まっていただけるんじゃないかなという意図もありました (^^
― なるほど、そのような意図があったんですね(笑)。ちなみに普段制作している消しゴムはんこ作品も、今回のエントリー作品のような繊細でかわいらしい、ポップなデザインが多いのでしょうか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん:
エントリー作品に散りばめたような北欧テイストの花のモチーフはよく作ります。他にアリクイやミジンコとか、シーラカンスとアノマロカリスとか、自分なりにデフォルメした生き物のモチーフも多いです。
エントリー作品のように人物を入れたハンコは普段は彫らないのですが、今後取り入れていきたいと思っています。
― ありがとうございます。それから、実際に印面を拝見させていただいて、大変細かい部分までしっかりと作り込んであるという印象を強く受けました。やはり普段から彫る練習を欠かさず行っているのでしょうか? それとも、これまでの活動で得た「細かく彫るコツ」や「制作するうえでの秘密」があるのでしょうか?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん:
細かく掘るコツ!!私も知りたいです!!
― え?
HAROKELLOGG ひろせはなこさん:
私の場合は転写した線を丁寧に忠実になぞって彫っているだけなので…(´・ω・`)
― でも、「転写した線を丁寧に忠実になぞって彫る」って、実はとても難しいことですよね。
HAROKELLOGG ひろせはなこさん:
そうなんです。なので、秘密というほどではないですが、視力は気合ではどうにもならないので、細かい線をはっきり見るためにライト付きのスタンドルーペを使っています。
―なるほど、たしかに細かい作業を行う際はスタンドルーペがあるととても便利ですよね。
次回の後編に続きます。どうぞお楽しみに。
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(国際イレイサースタンプ品評会開催委員長 中鉢久夫 / 2018年8月13日配信)