「Kacoraftさん」金賞受賞者インタビュー 前編

 消しゴムはんこファンの皆さん、ごきげんいかがでしょうか?国際イレイサースタンプ品評会開催委員長の中鉢久夫です。

 6月17日に開催された「第3回国際イレイサースタンプ品評会」の受賞作品発表後、最高金賞ならびに金賞を受賞された作家の皆様にインタビューを行いましたのでご紹介したいと思います。
 今回エントリーされた作品の制作秘話や苦労話、そして普段の作家としての活動や今後の展望について等々、消しゴムはんこへの強い想いをひしひしと感じる、とても中身の濃いお話をたくさんお聞きすることができました。

 シリーズでお送りする「第3回品評会受賞者インタビュー」。今回は、エントリーナンバー13番「Kacoraftさん」のインタビュー前編をお届けします。


Kacoraftさん


大好きな花や植物をテーマにしたエントリー作品

― この度は金賞受賞本当におめでとうございます。今回の金賞受賞について一言メッセージをお願いします。

Kacoraftさん:
とてもとても嬉しかったです。
発表日、時間ごとに次々と作品が発表されていく中で「自分の作品はもう選ばれないな・・・」とあきらめていましたので、受賞がわかった瞬間は全身の力が抜けるほどでした。
投票してくださったみなさまに心から感謝いたします。

― はじめに、Kacoraftさんが国際イレイサースタンプ品評会にエントリーしようと思ったきっかけについて教えていただけますか?

Kacoraftさん:
第1回、第2回と実際の作品を拝見して、ハイクオリティの作品が多い中で私はどのくらいの技量があるか試してみたいと思い、挑戦しようとエントリーしました。
消しゴムはんこ仲間が何人も声をかけてくださって、背中を押してもらいました。

― 今回のエントリーには、ご自身の「腕試し」的な側面もあったんですね。次に今回の受賞作品のテーマや世界観についてお伺いしたいと思います。作品の中央にレイアウトされた“la vie avec les fleurs”の意味するところと、作品全体のディテールが絶妙にリンクしているように感じているのですが、そのあたりについてお話しいただけますか?

Kacoraftさん:
“la vie avec les fleurs”は、フランス語で「花のある暮らし」という意味です。
もともと木々や草花など植物が好きで、暮らしの中にもたくさん取り入れたいと思っています。

― なるほど、ご自身が好きな植物をテーマにした作品、ということですね。

Kacoraftさん:
そうです。そして、『植物によって心が豊かになったり、人に優しさを与えられる力を消しゴムはんこに込めてみたい』と思いテーマを決めました。

― そうだったんですね。ということは、普段制作している消しゴムはんこ作品も、今回のエントリー作品のようなお花や植物をモチーフにしたデザインが多いのでしょうか?

Kacoraftさん:
はい、お花などの植物をモチーフにしたものが多いです。
違うテイストのモチーフを彫っていても、息抜きに植物のモチーフを彫ったりするくらい好きです。

― お花や植物が本当にお好きなんですね。


トレースの精度が作品の細部の仕上がりを決める

― 続いてエントリー作品についてお伺いします。実際に印面を拝見しましたが、大変細かい部分までしっかりと作り込んであるという印象を受けました。また、余白部分の処理も非常に丁寧にされていると感じました。これほどしっかり彫るためには、やはり普段の練習というのを欠かさず行っているのでしょうか?

Kacoraftさん:
数日あけて彫るようなときは感覚が鈍っているので、細めのラインのはんこを彫ってから本番のものを彫る場合はあります。ですが、基本的には毎日のように彫っているので感覚的なものが多いです。

― そうなんですね。では、これまでの活動で得た「細かく彫るコツ」や「制作するうえでの秘密」のようなものがあるのでしょうか?

Kacoraftさん:
一番大事なのはトレースではっきりくっきりとしたラインを出すことで、これができていないと細かいところは彫れないです。
また、拡大鏡などは使っていないので、裸眼でラインの端ギリギリのところに刃を入れていくように凝視しながら集中して彫るのみです。

― なるほど。

Kacoraftさん:
そして、常に丁寧に刃を入れることは心がけています。特に黒い消しゴムは刃の入れた部分の跡がわかりやすいので神経を使いますね。
さらに、確認のために光を当てて印面のチェックをしたりすることもあります。

― そこまで細やかな配慮をしながら制作されているんですね!

Kacoraftさん:
はい。あと、気持ちがゆったりと落ち着いていないといい作品ができないので、彫るときには心穏やかにしています。

― 心を落ち着かせることは制作に集中するうえで必要不可欠ですので、素晴らしい心構えだと思います。話は変わりますが、今回の作品には何種類の植物が描かれていますか? 差し支えなければ描かれている植物の名前も教えていただければと思います。

Kacoraftさん:
数え間違えがなければ25種類です。
ガーベラ、ミリオンスター、ラベンダー、ユーカリ、アネモネ、千日紅、ダリヤ、ナンテンなどなどです。


 次回の後編に続きます。どうぞお楽しみに。


「Kacoraftさん」のより詳しい情報はこちらです。
Instagram:https://www.instagram.com/kacoraft
Facebook:https://www.facebook.com/kacoraft


(国際イレイサースタンプ品評会開催委員長 中鉢久夫 / 2018年8月9日配信)

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