新・さんぽではんこ、木村明子さん忍者になる?!

 消しゴムはんこ作家・木村明子さん(くま五郎本舗)の連載「木村明子の新・さんぽではんこ」をお届けします。(隔月更新予定)


「暑い」がエンドレス口癖となる季節になりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。千葉県を拠点に活動している消しゴムはんこ彫り、木村明子と申します。

「木村明子という人物がどこかに出かけてはんこを彫る」というこの連載、第4回目となる今回は、私が尊敬する消しゴムはんこ作家である 村木ちえこ先生(以下ちえこ先生)とご一緒に新宿駅界隈で忍者になり、その後とある展示会に行ったことを書かせていただきます。
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ちえこ先生と決めた待ち合わせの詳細は「午前10時半、新宿駅東口近くのアルプス広場」です。私が新宿駅に着いたのは待ち合わせ時刻の20分前でした。なぜそんなに早く着いたのかと言いますと「新宿駅は魔窟だ」と噂で聞いていたからです。これより先は「運命づけられた方向音痴」と呼ばれる私が新宿駅をさ迷い歩くかわいそうなお話です。今だからできるつっこみと共にお楽しみください。


新宿駅地下ホームに降り立った私は「階段なんてどこでも同じだろう」と思い、目に着いた階段を素直に上りました(つっこみ1、1歩目から間違い)。階段を上り切ったそこは「本当にここは新宿駅ですか」と不安に思うくらい人気のない場所でしたが、とりあえず改札を出ました(つっこみ2、アルプス広場は改札の内側)。近くにある案内板には東口の「ひ」の字もありません。私は改札口にいる駅員さんに「アルプス広場にはどう行けばいいのですか」と尋ねました。すると駅員さんは「アルプス広場ってどこですか」と逆に尋ねてこられました(つっこみ3、アルプス広場、待ち合わせに不向き)。

スマホに保存しておいた駅構内図にてアルプス広場の場所をお見せすると、駅員さんは「ああ、ずいぶん遠いですね、ちなみに今はここです」と手持ちの構内図を見せてくださいました。現在地と東口は、日本とブラジルくらい離れた場所にありました。

でも大丈夫、時間はまだたっぷりあります。「私はまずどこに向かえばいいのでしょう」と訊くと「まずは南口に行き、そこから外に出てぐるりとまわってください」と言われました。「外に出てぐるりとまわる」のレベルが大変高そうなので、まずは南口に向かうことにしました。

南口にはすぐにたどり着きましたが、案内板にはやはり「ひ」の字がありません。そこで私は西口に向かいました(つっこみ4、なぜ正反対の方角に)。西口にたどり着くと地上に出られそうでしたが、なぜかそこには地中海を思わせる光景が広がっておりました。「ここを進んだら終わりだ」という予感がしたので、近くのお花屋さんに道を尋ねました。お花屋さんは「ここは正反対の場所なので(つっこみ5、東と西ですものね)この建物に沿ってぐるりとまわってください」とおっしゃいました。

この時点で待ち合わせ時刻の10分前です。いよいよ「ぐるりとまわる」ことを避けられなくなった私は、流れ出る汗をぬぐいながらひたすらに建物に沿ってぐるりとまわりました。するとそこに現れたのは、東口ではなく「東南口」だったのです(つっこみ6、新宿駅恐るべし)。

このまま新宿駅でのさまよいを書き続けるとちっとも話が進まないので省略いたしますと、なんとか無事にちえこ先生と出会えたのは待ち合わせ時刻の2分前でした。全国にお住まいの方向音痴の同志に申し上げます。「新宿駅は魔窟」です。待ち合わせは慎重に。


なんとか無事にちえこ先生と出会えた私は色々な意味で汗だくでした。そんな私にちえこ先生は保冷剤や扇子を手渡してくださいました。まさしく「新宿に降り立った天使」です。ありがたく扇子をお借りした私はちえこ先生の後に着いて「忍者になれるという場所」に向かいました。そこは、ちえこ先生がわざわざ私の好みであろう場所を探して見つけてくださった施設で、なぜだか大都会新宿歌舞伎町のど真ん中にあります。

新宿の街を歩いておりますと、若いイケメン男性の写真が巨大に貼られているビル群にたどり着きました。辺りを見渡すと通行人の9割がイケメン男性です。恐らく出勤前のホストの皆様だと思うのですが、太陽の元を歩く皆様は夜の顔が想像できないくらい仲良しで、とても健康的でした。


忍者になれる施設では、私たち以外に2組の親子連れの方々がいらっしゃいました。全員腰に刀をつけてもらえるのですが、私以外みんなスリムな体型だったので刀をつけてくれた忍者の手がすべったらしく、私の腰に巻かれたベルトはしめつけがややきつめでした。「やせよう」と強く思いました。

そこでは刀を素ぶりしたり手裏剣を投げたりできました。私に渡された6つほどの手裏剣は見事にどれも的にささらず、そもそも的に届かない手裏剣もありました。そこまでコントロールの利かない状態だったのは私だけでした。私の「球技が恐ろしく下手」という体質は、どうやら一生もののようです。

コントロールの利かない太めの忍者は腰の刀を外してもらい、普通の人に戻りました。再び新宿歌舞伎町を歩いて都会の魔窟(新宿駅)に戻った私たちは、どうにかそこを抜け出し「末広町」へと向かいました。


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目的地は末広町駅から徒歩5分ほどにある「カフェ・トリオンプ」さんです。こちらでは現在 うえむらゆみこ先生 主催の「ゆみこ展2017&45人展」が開催されております。ちえこ先生と私はこちらで美味しいランチ(ぴよちゃんライス・おすすめです♪)を楽しんだ後、展示されている素晴らしい作品を存分に堪能いたしました。
http://ameblo.jp/masa1109yumi/

この展示会は8月31日まで開催されております(平日のみの開催、1オーダーが必要です)。私は45人展にて作品を展示していただいております。

「最後のこれは宣伝ではないのだろうか」と思われた皆様、ご名答です。今回の原稿の半分は宣伝でできております。だってだって、とっても頑張って作った作品が飾ってあるんですものっ、皆様に見ていただきたいじゃあないですか!!

と開き直る私の作品はともかくとして、一見の価値がある素晴らしい展示会です。皆様の「夏のレジャー」のひとつとされてはいかがでしょうか。

ではまた!!

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