消しゴムはんこ作家・木村明子さん（くま五郎本舗）の連載「木村明子の新・さんぽではんこ」をお届けします。（隔月更新予定）
たくさんの方々が新しい出会いを迎えていらっしゃる季節となりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。千葉県を拠点に活動している消しゴムはんこ彫り、木村明子と申します。
「木村明子という人物がどこかに出かけてはんこを彫る」というこの連載、第２回目となる今回は「ペットカフェ」に行ってまいりました。「前回の猫カフェに続いて動物ネタか」と思われる皆様もいらっしゃるかと思います。実はお出かけをしていた時期（３月）は大変寒く、「毛皮のある存在をもふもふしたい」と日々強く思っていたのです。
そんな寒さに弱い私が今回行って来た「ペットカフェ」ですが、ご存じのない皆様にご説明いたしますと、「ペットカフェ」とは「ペットとなりうる小動物」がたくさんいる「カフェ」です。
カフェの入り口でお会計をした後、手を消毒してから動物たちのいる部屋のドアを開けると、動物園にただよっている感じの匂いが鼻に届きました。「いよいよこれから動物たちに遊んでもらえるのだ」というわくわくした気持ちになれる匂いです。
荷物置き場にコートを置いていると、近くの囲いにいたミーアキャットがこちらを見てキューキューと鳴いておりました。さっそく側に行ってみますと、彼は落ち着きなく辺りを駆け回りながら時々こちらに近づいて靴の下を掘る真似をします。その様子は、イメージ的には「遊んでほしがっているさみしがり屋の男の子」という感じです。
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しばらくミーアキャットと過ごした後、ひよこの囲いに行ってみました。かなり広めの囲いの中でたくさんの黄色いひよこたちがピーピーと元気に走り回っております。同行してくれた友人がエサを分けてくれたので、ひよこの囲いの中に手を入れてみました。すると、辺りにいるひよこたちが一斉に手のひらに駆け寄ってきました。その様子は、イメージ的には「昭和のオイルショックの時にトイレットペーパーを求めて集まった主婦の皆様」という感じです。
時々うっかり手のひらに乗ってしまうひよこもいましたので、そのまま見やすい位置まで持ち上げてみました。するとひよこは「そういうふれあいは求めていなんだよね」的な雰囲気を漂わせながら囲いに戻って行きました。少し寂しいですが、彼らの事情が最優先なので仕方がありません。
このカフェでは、係の方にお願いするとトカゲを手のひらに乗せてもらえます。大のトカゲ好きである私はもちろんお願いいたしました。私の両手のひらの中でくつろぐトカゲの肌は素敵にツブツブガサガサです。いつさわっても本当に気持ちのいい感触です。勢いで、側にいた体長１メートルほどのカメレオンをなでさせてもらいました。表情豊かなカメレオンで、なで始めると同時に目を閉じ、気持ち良さそうな顔をしておりました。常にべろをしまい忘れている、とても可愛いカメレオンでした。
その後、ウサギやハリネズミ、巨大なカメとふれあった後、インコの囲いに入りました。ネットで仕切られているそこでは、数多くの彩り鮮やかなインコが縦横無尽に飛び交っております。インコを飼ったことがあるという友人は、１羽のインコに肩を独占されていました。普段は鳥に人気のない私も、頭に２羽乗られたりしておりました。時には目の前でホバリングするインコもいて、その様子が何やらあわてふためいている風なので指を差し出してみると、「ちょっとリアクション遅いのよ、あなた!!」という雰囲気でしがみついてきました。こんなに人懐っこい鳥の集団を見たのは初めてです。
カフェ内をうろうろしている間ずっと、最初にふれあったミーアキャットが気になっておりました。彼は、遊んでくれる人がいない時は囲いの中で寝ています。もう一度側に行ってみると、キューキュー鳴きながら囲いを抜け出して来ました。椅子に座ってじっくり向き合うと、私の靴の下を掘り、パンツ（下着ではなく）の裾を折った部分を掘り、シャツと腕の隙間を掘りました。靴ひもをひっぱり、靴下をびよんぱちんびよんぱちんと伸ばし続ける彼は「私と遊んでくれている」のではなくて「私で遊んでいる」のだなぁと思いましたが、それはそれでとても楽しい気持ちになりました。
こちらのお店には２時間ほど滞在しておりました。同行者のふたりはカメラ女子だったので、相当写真を撮ったみたいです。私もたくさんの資料写真を撮ることができました。ぜひまた行ってみて、動物たちに遊んでもらいたいと思いました。
ではまた!!
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