第7回品評会受賞者インタビュー 【MIZUHOさん】

 消しゴムはんこファンの皆様、ごきげんいかがでしょうか。

 昨年11月に開催された「第7回国際イレイサースタンプ品評会」において最高金賞ならびに金賞を受賞されました作家の皆様に、受賞の喜びなどをお伺いして皆様にお届けしている「受賞者インタビュー」を今回も実施いたしました。

 今回皆様にご紹介するのは、第4回ならびに第5回品評会の金賞受賞に続き三度目の金賞受賞となりました「MIZUHOさん」のインタビューです。


第7回国際イレイサースタンプ品評会
金賞 MIZUHOさん


― この度の金賞受賞おめでとうございます。今回で三度目の金賞受賞となりましたが、お気持ちはいかがでしょう?

MIZUHOさん:
 ありがとうございます。個人的に最高の順位でしたので、本当に嬉しかったです。投票してくださった皆様、心から感謝しています。ありがとうございました。今まで結果発表のとき、早めに名前が出て安堵も早かったのですが、「もうだめかぁ…」と思うくらい後半で、あの時間をかけての発表は、ドキドキして見れないです。

― そうですよね(笑)。事務局としては受賞作品をひとつずつご紹介したいと思いまして約3時間をかけてカウントダウン形式で発表しておりますが、「ドキドキして見れない」とおっしゃるお気持ちはとても良くわかります。

MIZUHOさん:
 そして、振り返ると5回も挑戦してきたんだなぁ…と挑戦してる自分を褒めてあげたくなりました。本当に大変なんですよね。挑戦する皆さんそうだと思いますが、ここまでハイレベルになると、挑戦することに意義があると思っています。

― そうですね…たしかに作品の「表現力」という点においては、開催を重ねるごとにどんどんレベルが上がっているというのは実感しているところです。では早速エントリー作品についてお伺いしたいと思います。今回は「和菓子の菓子折に添える手紙」という、品評会の図案としてこれまでになかったテーマで作品を仕上げてきましたね。そこでお訊きしますが、このテーマを選ばれた理由を教えていただけますか?

MIZUHOさん:
 「和菓子の美に添え手紙」というわかりづらいタイトルですね…表現のしようがなくて、最後まで迷いました。
 品評会の多くの作品はストーリーが描かれる事が多いと思います。そこに魅力を感じることも多いです。今までのように「原画を描いて彫る」のではなく、今回は「作品を考えながら作り上げた」という感じです。はんこは使ってなんぼだと思い、「使うために作ろう!」と絵手紙になりました。

― なるほど。

MIZUHOさん:
 今回の品評会は見た目の綺麗さに芸術的なものを感じてもらいたいと、芸術作品を作る美にこだわる挑戦をしました。美にこだわるといえば、当時インターネットで見た和菓子職人の菓子折り。色や形にものすごくこだわっていて美しいんですよね。その匠の技術に、こちらからは精一杯の消しゴムはんこの技術でお返し。こだわりの詰まった菓子折りにこだわった技術をこめた絵手紙を添えたら最高なのではないかと思いました。

― 「匠のこだわりに匠の技術でお返し」…表現方法は違えど互いに相通ずるものがある、そういうイメージを感じますね。

MIZUHOさん:
 ただ、美へのこだわりのみで挑戦するということはかなり難しいことでした。背景にストーリーがあるわけでもなく、ただ見た目のみ。本当、結果は気にしない無謀なチャレンジをしてるなぁ…と思いながら取り組んでいました。

― そうですか…ですが、私は決して「無謀なチャレンジ」ではなかったと思いますよ。品評会における作品の在り方に一石を投じるこれまでにない新しいスタイルに挑戦し、それが多くの方に受け入れられて結果に結びついたというのは本当に素晴らしいことだと感じます。それから、実際に手描きのメッセージを記入できる部分を意図的に作り、印影に表れない部分をワンポイントの飾り彫りで仕上げていますが、これも当初からイメージされていたことなのでしょうか?

MIZUHOさん:
 はい。実用的にしたかったので、一言書けるところを作りたかったです。「ありがとう」などの一言は自筆がいいですよね。だから文字は入れませんでした。

― あえての「空白」なんですね。

MIZUHOさん:
 作品としてみるとその部分だけスペースが空いてしまうのですが、あくまでも「美」にこだわろうとした作品なので、和菓子のこだわりを入れようというイメージはしてました。ですが、形にするのは難しかったですね。

― とはいえ、しっかりと形にして仕上げるあたりはさすがですよね。そして、細部をじっくり拝見すると描き込みがしっかりしていてとても丁寧に彫られていながら、作品全体に目を移すと散漫な感じが全くなくむしろひとつの塊として目に飛び込んでくる…そのような印象を受けました。このレベルにまとめ上げるのは相当大変だったのではないかと思いますがいかがでしょうか?

MIZUHOさん:
 ありがとうございます!一つ一つ細かいモチーフなので、実は別々に描いてまとめました。そう言って頂けて、ほっとしています。
 パーツを寄せ集め、継ぎ足して完成させました。その間には、下書き無しで様々な模様を入れ込んだので、まとまったのだと思います。嬉しいです。良かったです。

― それぞれ別に描いてまとめたとは驚きです!そしてこのまとまり感は、おっしゃるように間をつないでいる模様がとても効果的に作用しているからなんでしょうね。これらの点を総合し客観的に受賞作品をご覧になってみて、どのような点が審査投票の際に支持されたとお考えですか?

MIZUHOさん:
 本当、テーマも珍しいですし、打ち出してるのは和菓子の美のみ。ですが、やはり和菓子の匠のこだわりに対等になるような消しゴムはんこを目指し、見た目にもこだわったので表面を金色にして、消しゴムはんこの概念を忘れるようにしたこと。和菓子のようなカラフルさを感じられたこと。余白も作品の一部にしたこと…でしょうか。


― ところで、今回のエントリー作品に限らず普段作品を制作するにあたり、どのような点を最も大切にして制作に取り組んでいらっしゃいますか?

MIZUHOさん:
 うーん……手描き、人が彫る消しゴムはんこらしさ…でしょうか。それと、テーマを相手に伝える努力…でしょうか。それは大切にしています。

― なるほど。「画一性のない手彫りならではの消しゴムはんこらしさ」と「作品のテーマを伝える」…このふたつは特に品評会において重要となるポイントだと個人的に考えておりまして、そのいずれもしっかり意識されているあたりはさすがですね。ところで、第7回品評会から印影への着色・加工が全面的に禁止されましたが、このルール変更はエントリー作品の制作にあたりどの程度影響がありましたか?

MIZUHOさん:
 特に今までも別に陰影への着色にはこだわらなかったので問題なかったです。印面に着色や、和紙に捺すなどは作品として大切にしてたので、そこは大丈夫とのことでしたので全く気になりませんでした。

― そうでしたか。そして今お話に出てきた印面の着色についてもお伺いします。全体の金色に目が行きがちですが、彫りこまれた花や葉に僅かに色を乗せていますよね。これは当初からこうしようと考えていらっしゃったアイデアでしょうか?

MIZUHOさん:
 そうですね。彫り上がりを見た時に、表面が黒の「ほるナビ」を使っていたのですが、パッと見たとき和菓子の美に釣り合わないな…と思いました。そこで和菓子の色鮮やかさを入れようと思い色塗りしました。金色になった経緯は、様々な色をのせてみたのですが、テーマに対し一番しっくりきたからです。金色も色の特性として、はっきり乗せる事はかなり難しいので色々試してみました。最終的には綺麗にのって良かったです。

― 作品のテーマに合わせることを意図しての着色だったんですね。おっしゃるように金色のインクはムラになりやすく色を乗せるのはとても難しいですが、華やかで素晴らしい仕上がりになったと拝見していて感じました。話は変わりますが、金賞を受賞されたことでご自身の中で消しゴムはんこに対する見方や考え方・捉え方に変化はありましたか?

MIZUHOさん:
 消しゴムはんこに対する変化は、芸術的なものとして向上させたいと自分の中での意識が変わりました。そして、品評会に対する考え方の変化もありました。

― 品評会に対する考え方…それはどういった変化でしょう?

MIZUHOさん:
 これまで5回挑戦してきた中で、入賞できなかった作品・できた作品とありました。今までは「賞をとりたい〜!」と頑張ってましたが、ハイレベルすぎるのでこればかりは好みもあるのかなぁ…と思うようになりました。どなたが入賞してもおかしくないので。だから、入賞できなかったことに落ち込むのではなく、「自分の作品を自信を持ってより沢山の方に見ていただく良い機会!沢山の方の作品から刺激を頂ける消しゴムはんこを盛り上げるイベントへの参加を楽しんで!」と思うようになりました。そして、個人的にも沢山の方から感想を頂けるので励みになります。

― 素晴らしい考え方ですね!いたずらに賞レースに走ることなくご自身の作品を多くの方に見ていただく機会と捉え、そして他の作家の方からも刺激を受けつつご自身の作品への感想をいただくことでモチベーションアップを図る…これ以上ないと言える「正のスパイラル」ですね。ということは、今後も品評会へのエントリーはあると考えてよろしいでしょうか?

MIZUHOさん:
 はい、可能な限り参加して沢山の方から感想を聞いていきたいです。

― それは楽しみですね、期待しております。では最後になりましたが、消しゴムはんこ作家としてご自身が目指す姿というのはございますか?

MIZUHOさん:
 今は「シャインカービング」の方でも消しゴムはんこを使いオリジナルシートを彫っています。そしてシャインカービングから消しゴムはんこを知って挑戦してくれる方も沢山増えてきました。このように多方面から消しゴムはんこを広めていきたいと微力ながら思います。
 個人的には先程もお話しましたが、芸術的に消しゴムはんこ作品を向上させたいと頑張っていきます!

― 「これまでになかった新しいホビー」としてシャインカービングも急速に愛好者が増えていますし、おっしゃるように他のホビーから消しゴムはんこを知ってもらい挑戦するきっかけを作り広めていくというのは、それぞれのホビー人口を増やすことができるという相乗効果も見込めるのでとても良い取り組みですよね。そしてシャインカービングはアート色が強いというイメージがありますので、ご自身の消しゴムはんこ作品の芸術性を高めることにも良い影響があると思います。本当に今後が楽しみです。本日はありがとうございました。そして三度目の金賞受賞、本当におめでとうございました。

MIZUHOさん:
 ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします!


MIZUHOさんの情報はこちらでチェック!
https://www.instagram.com/handmademizuho/


第8回国際イレイサースタンプ品評会は2021年12月5日開催!
あなたも金賞を目指してみませんか?
詳しくは「国際イレイサースタンプ品評会」公式サイトをご覧ください

https://www.artcraftfesta.com/contest


(国際イレイサースタンプ品評会開催事務局 / 2021年3月22日配信)

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