第6回品評会受賞者インタビュー 【はんこ屋おばこさん】
消しゴムはんこファンの皆様、ごきげんいかがでしょうか。
昨年12月に開催された「第6回国際イレイサースタンプ品評会」において、最高金賞ならびに金賞を受賞されました作家の皆様に、受賞の喜びなどをお伺いしてお届けしている「受賞者インタビュー」を今回も実施いたしました。
今回皆様にご紹介するのは、嬉しい初の金賞受賞となりました「はんこ屋おばこさん」のインタビューです。
第6回国際イレイサースタンプ品評会
金賞 はんこ屋おばこさん
― この度は金賞ならびにデザイン賞のダブル受賞おめでとうございます。はじめに、受賞された際のお気持ちを教えていただけますか?
はんこ屋おばこさん:
この度はたくさんの方に見ていただける機会を与えていただきありがとうございます。わたしの作品を選んでくれた方がいらっしゃったこと、金賞を受賞できたことは本当に驚きでした。さらにデザイン賞も受賞することができたことは「信じられない、夢のようだ」という気持ちでした。
― 本当におめでとうございます。では早速ですが、今回の作品のテーマについてお伺いします。このテーマを選んだ理由は何でしょうか?
はんこ屋おばこさん:
近頃自然災害が多発しております。わたしの住んでいる場所でも水害により被害が出たところがあります。一歩ずつ前に進むよう復活するよう、不死鳥をモチーフとした作品を作りました。
― そのような想いを込めて制作された作品だったんですね。災害は一度被災すると復興まで膨大な時間がかかりますが、今回のデザインに描かれた不死鳥のように必ずや復活する・・・そう願いたいですね。では続いて印面デザインについてお伺いします。今回のデザインは、余白をきちんと確保しながら余白部分以外は非常にしっかりと描き込まれていて、その対比の振り幅がとても大きく感じられると同時に絶妙なバランスの良さを感じました。この点について、狙ったことや意図があれば教えていただけますか?
はんこ屋おばこさん:
これまでの受賞作品を拝見し、たくさんの文様を散りばめることも考えました。ですが意識的に余白部分を大きくして不死鳥を強調し、掛け軸のような作品を目指しました。
― なるほど。主役となる不死鳥を引き立たせるために、あえて余白部分を大きく取ってあるんですね。全体的に細かいと主役が目立たず散漫になりがちなので、これは狙いどおりに仕上がっているといえますね。そして気になったのが細部の描き込みで、ここまで繊細だとものすごく時間がかかっていると思うのですが・・・実際のところ、デザイン画の完成までどのくらい時間を要しましたか?
はんこ屋おばこさん:
もともとのデザインは第5回の品評会へエントリーしたときのものでした。家族の体調不良などが重なり作品制作の時間が取れず、作品を完成させることができませんでした。
― なんと!そうだったんですね。
はんこ屋おばこさん:
そこで今回はその時のものをもとに、再度デザインしました。トータルとしてはかなり時間がかかっています。
― なるほど、そうでしたか。続きまして印面についてお伺いします。不死鳥の羽の表現や額となる縁の処理等、非常に繊細なデザインを見事に表現されていますが、制作時に集中力を維持するのは大変ではなかったですか?
はんこ屋おばこさん:
制作に取れる時間は1日1〜2時間、少ないときは30分くらいでした。完成までは何日もかけて少しずつ少しずつ彫ったので、集中力が切れることはなかったと思います。縁の処理は1時間彫ってもほんの少しだったりしたので、毎回間に合うのかなと途方にくれていました。
― 一度に制作を行える時間に制約があったことで、逆に集中力を切らすことがなかったんですね。そして縁の文様・・・想像するだけで気が遠くなりそうです。それと併せて、余白部分についても広範囲にわたって非常になめらかに仕上げられていますが、こちらも気が抜けなかったのではないでしょうか?
はんこ屋おばこさん:
余白はわたしの苦手な作業なので、一番最後に彫った部分になります。他の先生が彫刻刀を使った余白処理をされているのを見て、私も彫刻刀で彫りました。綺麗に見えるように余白も少しずつ作業したので、結構な時間がかかってしまいました。
― やはりそうでしたか。仕上がりを一目見ただけで相当神経を使われたとわかる・・・そんな丁寧な仕上がりでした。ちなみに、余白部分を彫るのと細かい部分を彫る時では、どちらの方が気を使いますか?それぞれに大変な部分があろうかと思いますが・・・
はんこ屋おばこさん:
私の場合はやはり苦手な余白処理に気を使いました。
― なるほど。では、それぞれどのような点に注意して制作作業を行いましたか?
はんこ屋おばこさん:
余白も細かい部分についても気をつけないと深彫りになってしまうので、少しずつゆっくりと作業することに注意しておりました。
― ありがとうございます。ところで、デザイン画を消しゴムはんこに転写する際はどのような方法で行いましたか?
はんこ屋おばこさん:
今回は初めて除光液転写をしました。ただ、何度も失敗してしまいましたが・・・
― 慣れるとほぼ失敗はなくなるようですが、除光液転写はちょっと難易度が高いですしね。そして、デザイン画についてお伺いした際にもお話しいただきましたが、作品の完成までに要した時間は・・・?
はんこ屋おばこさん:
少しずつの作業だったのでトータルの時間はわかりませんが、数ヶ月かかったと思います。
― やはり・・・とはいえ、少しずつ彫り進めて完成まで到達した時の達成感は得も言われぬものだったのではないでしょうか。
― 続きまして印影についてお伺いします。今回の印影は金色のインクを使用することで非常に厳かな雰囲気を醸し出しており、個人的に作品の雰囲気やデザインにとてもマッチしていると感じていますが、これはデザイン画の制作当初から決めていたのでしょうか?
はんこ屋おばこさん:
はじめはゴールドのエンボス加工をしようと思ったのですが、こういったインクがあることを知り、いくつか試してみてこちらを選びました。
― なるほど・・・ゴールドのエンボス加工も良い雰囲気に仕上がるかもしれませんね。ちなみに印影への着色は検討しなかったのでしょうか?
はんこ屋おばこさん:
印影への着色はしない方向でデザインを考えました。
― そうでしたか。それでは続きまして、今後の活動予定について教えていただけますか?
はんこ屋おばこさん:
まだまだ子供に時間がとられるため作業時間が確保できないと思われます。限られた時間ではありますが、少しずつ作品を作っていけたらと思います。水引を使ったポチ袋やわたしの故郷に関する作品を作っていけたらと思っております。
― ありがとうございます。では最後に、今後も継続して品評会へエントリーすることを検討されていますか?
はんこ屋おばこさん:
今後も品評会への参加をしたいと考えておりますが、年に一度という長いスパンでの出品となりそうです。次回にむけてこれから少しずつアイデアをまとめて行ければなぁと思います。
― ありがとうございます。子育ての合間の活動ということで時間の確保等いろいろ大変かと思いますが、次回作にもとても期待しております。制作活動も含め、ぜひ継続していただければと思います。本日はありがとうございました。そして、金賞受賞本当におめでとうございました。
はんこ屋おばこさん:
ありがとうございました。
はんこ屋おばこさんのインスタグラムはこちらです
Instagram:https://www.instagram.com/hanko_obako/
第7回国際イレイサースタンプ品評会は2020年6月21日開催!
あなたも金賞を目指してみませんか?
詳しくは「国際イレイサースタンプ品評会」公式サイトをご覧ください
https://www.artcraftfesta.com/contest
(国際イレイサースタンプ品評会開催委員長 中鉢久夫 / 2020年1月31日配信)