消しゴムはんこファンの皆様、ごきげんいかがでしょうか。
6月2日に開催された「東京アートクラフトフェスタvol.1」会場で同時開催された「第5回国際イレイサースタンプ品評会」において、最高金賞および金賞を受賞された作家の皆様に恒例のインタビューを行いましたので、皆様にご紹介したいと思います。
今回は第4回品評会に続き二回連続の金賞に輝いた「髙宮江美子さん」のインタビューです。
第5回品評会 金賞受賞 髙宮江美子さん
― この度は金賞受賞おめでとうございます。二回連続の金賞受賞という素晴らしい結果となりましたね。はじめに、受賞された際のお気持ちを教えていただけますか?
髙宮江美子さん:
ありがとうございます。まだまだな私ですが今回で3回目のエントリーでした。毎回毎回周りの皆さんの作品が素晴らしすぎて受賞できないのかな…と思いましたが、純粋に嬉しいといった気持ちです。
― ズバリお訊きしますが、受賞される自信はありましたか?
髙宮江美子さん:
全然ありません(笑)
― いやいや、ご謙遜を(笑)
髙宮江美子さん:
いえいえ、とんでもないです(笑)。ただ、前回作品より少し志向を変えていたのでどうなのかな・・・とは思いました。
― なるほど。今お話に出てきた「志向」についてですが、第4回品評会で金賞を受賞されたことで、今回のエントリー作品の制作に影響した部分・・・たとえばデザインのスタイルや制作スタイルに関する面や、二回連続受賞を目指すプレッシャー等はありましたか?
髙宮江美子さん:
プレッシャーというのはありませんでした。ただ、大げさかもしれませんが何だか「自分との闘い」みたいな・・・前回よりは成長したものを制作したい・・・というところでしょうか。
― そのお気持ち、よくわかります。
髙宮江美子さん:
デザインも前回の初受賞のものより、印面の白黒を強く意識していました。制作スタイルは今までと変わらず「彫りたくなったら彫る」「やれるときにやる」といった感じでした。
― 制作スタイルは普段どおりだったんですね。ところで今回の印面デザインですが、これまでのエントリー作品とは異なる「和」のスタイルがふんだんに採り入れられていますね。「和」のテイストであっても髙宮さんの世界観がしっかりと表現できていて素晴らしいと感じましたが、デザイン画の制作時に工夫した点や苦労した点などはございますか?
髙宮江美子さん:
ありがとうございます。一回目の受賞後が12月で季節柄年賀状の季節でもあったので、「あ、今回は和柄にしよう」と思いました。ただそれをメインというよりも、まず私のキャラクターを出したくて、それをするにはどうしたら・・・といった方が先に先行していたように思います。
― なるほど。ということは、デザインもけっこう苦心されたのではないですか?
髙宮江美子さん:
何点かラフ画を描きましたが、結局一番最初のが気に入る感じです。ラフ画も一気に何枚か描いて、「これ」と自分で思ったものを毎回選んでいます。直感・・・みたいな感じです。
― 直感で複数枚描いた中から選ぶのが最初の一枚ということは、抜き過ぎず盛り込み過ぎない「ちょうどいい」基準がご自身の中である程度決まっていることの証ですよね。ちなみに今後は「和」のテイストを感じられる作品が増えていく感じでしょうか?
髙宮江美子さん:
そうですね・・・普段あまり取り入れない「和」ですが、一度描いてみたら楽しくなってきたのでたまに出てくるかもしれません。
― それは楽しみですね。期待しております。
印影。デザインだけではなく、印影の着色からも「和」の雰囲気が感じられる秀逸な仕上がりです。
― 次にデザインで特に印象的だった点についてお伺いします。描かれている女の子や動物たちの表情の中で、特に目が非常にはっきりと表現されているので「ここに女の子がいる」「ここには牛、こっちは虎で隣は馬だ」といったように、それぞれのモチーフの境界線が隣接していても個々の存在がとてもよくわかると感じました。目をしっかり表現するのはとても難しいのではないかと思うのですが、高宮さんとしてはその点をどのように考えていらっしゃいますか?また、表現方法について何か工夫されていることはございますか?
髙宮江美子さん:
わかりにくいかもしれませんが、今回は彫り方をほんの少しだけ細かくして動物の線を二重にするなどの工夫をしました。
― ・・・たしかにそうですね!今お話を聞いて初めて気づきました。これは表現方法としては新しいですよね。
髙宮江美子さん:
ただ、これはトレースした後に彫ってる最中に思いついてアバウトなんです(笑)。だからきっちりした線では彫れず、場所によって二重になっていなかったりしています。感覚で彫っていたのでちょっと失敗したりして(苦笑)。でも「それも良いかな・・・」とか思いながらやっていました。それが良い結果に結びついたかはわかりませんが、でもそれで見えやすくなっていたのなら良かったと思います。
― なるほど。個人的にはきっちり彫らずにほど良いラフな感じとアバウトさがあるからこそ、今回のデザインが一層引き立つ結果になったと感じています。この手法を完全にマスターできたら、作品表現の大きなアドバンテージになると思いますよ。話は変わりまして、作品タイトルの「ちぶよずつ」ですが、文字の組み合わせを変えると髙宮さんの描くオリジナルキャラクター「ずぶっちょ」になりますよね。もしかしてそのような意図で作品タイトルを付けたのでしょうか?(笑)
髙宮江美子さん:
よくぞ気づいてくださいました(笑)
― やはりそうでしたか(笑)
髙宮江美子さん:
冒頭でも言いましたが、まずオリジナルキャラクター「ずぶっちょ」を出したかったんですね。だから最初から「ずぶっちょ在りき」だったのです。でも私らしさも出していきたいと思ってあのような作品に仕上げたのですが、実はタイトルを全く考えてませんでした。ネーミングセンスが無い私なので(笑)。
― とんでもない!気づく人は気づく「からくり」を盛り込むなんてとてもセンスが良いと思いますよ(笑)
髙宮江美子さん:
ありがとうございます(笑)。話を戻しますが、かといって見たまんまの「和」をイメージするタイトルをつけるのはなんだかつまらないと思ったので、あんなタイトルになったのですが・・・「ずぶっちょ」に気づいて欲しかったのが本音かもしれません(笑)。
― 苦悩の末のネーミングだったんですね(笑)。では続きまして、消しゴムはんこ作家としての現在の活動と今後の活動予定について教えていただけますか?
髙宮江美子さん:
最近は消しゴムはんこを彫れていないのですが、また少しずつ復活しながら講師活動やイベントも今年はあと三回くらい出させていただきます。
あとはシンプルな似顔絵や、イラスト、現在も地域新聞にていつものような変な四コマを連載しています。他には歴史漫画の連載をさせていただきましたが、それを受けて色々取り組みを始めている最中です。まだ少しずつですが、両方とも自分ができる範囲でやっていけたらと思います。
― 消しゴムはんこにとどまらない、幅広い活動をされているんですね。ご自身の作風にも幅が出ると思いますので、とても良いことだと思います。では最後に、このように幅広く活躍されている髙宮さんにとっての「消しゴムはんこ」とは、どのようなものですか?
髙宮江美子さん:
消しゴムはんこはメディアなどに大きく取り上げられたことで年齢を問わず幅広く知られるようになり、それによってお声がけを頂けるようになりました。これはとても素敵なことだと思います。そしてその活動をしていた結果、お知り合いや友人もでき、知らないジャンルのことまで少しですがわかるようになりました。自分が関わっているものとは全く違う分野が本当に色々あるのだな・・・と、そこで新しい発見や学びもあるのだな・・・とも思いました。
今では漫画のお仕事まで繋がるようになったので、自分でもびっくりしています。なので、地道にコツコツとやっていると少しずつですが自分の経験が少しでも役に立てるのだな・・・と感じています。なので、消しゴムはんこは私にとってとても大切な存在です。
― ありがとうございます。ひとつのジャンルに捉われず幅広く活動されている髙宮さんならではの視点ですね。そして、新しいことに果敢にチャレンジして得られるものを自分のスタイルとして表現方法に取り入れることができる柔軟性も、このような想いがあってこそのものだと感じています。今後のさらなるご活躍を期待しております。本日はありがとうございました。そして二回連続の金賞受賞、本当におめでとうございました。
髙宮江美子さん:
こちらこそありがとうございました。
~作品データ~
消しゴム:ヒノデワシ はんけしくん
使用ツール:デザインナイフ
印面着色インク:シャチハタ フォアコート
~髙宮江美子さんのSNSアカウントはこちら~
◆Facebook:https://www.facebook.com/enehanko
◆Twitter:https://twitter.com/natuyonini
◆Blog:http://ameblo.jp/natuyotti/
次回「第6回国際イレイサースタンプ品評会」は2019年12月8日「東京アートクラフトフェスタvol.2」内で開催!
いま消しゴムはんこ界で最も熱い注目を集めるコンテストにあなたも作品を出品してみませんか?
出品方法は東京アートクラフトフェスタ公式サイトをご覧ください。
https://www.artcraftfesta.com/contest
(国際イレイサースタンプ品評会開催委員長 中鉢久夫 / 2019年10月11日配信)