木村明子さん新連載「ものネタ」スタート!
消しゴムはんこ作家・木村明子さん(くま五郎本舗)の連載「木村明子のものネタ」をお届けします。(毎月18日頃更新予定)
出会いと別れの季節となりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。千葉県を拠点に活動している消しゴムはんこ彫り、木村明子と申します。
今回から新連載、「木村明子の『ものネタ』」を始めさせていただきます。内容は「木村明子という人物が何かひとつの『物』をピックアップして文章を書き、消しゴムはんこを彫る」ということになっております
第1回目のネタは「マスク」です。「1回目なのにそんな地味なネタでいいのか」と思われた皆様、大丈夫です。これからも延々と地味なネタが続きます。
私が真夏にマスクをするようになったのは10年以上前のことです。使用目的は「日差しよけ」です。それまではまったくマスクなしの人生を歩んでおりました。体質の様々な変化により今では、春は花粉よけ、秋は残暑よけ、冬は風邪よけとして1年中マスクをかけ続けております。
ここで「マスクが日差しよけになるのか」という疑問を持つ皆様もいらっしゃるかもしれません。結論から申し上げますと、「マスクは真夏の日差しよけとしての最強アイテム」です。これは、「真夏の日差しを受けるとくちびるが赤黒く腫れる」という体質の私が何年も何年も研究した結果です。
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「日焼け止めをぬればいいのでは」とおっしゃる皆様もいるかもしれませんが、私のくちびるは「SPF50・PA+++」のUV乳液をぬり、日焼け止めクリームをぬり、リキッドファンデーションをぬり、パウダーファンデーションをぬり、リップクリームをぬり、口紅を2色重ねぬりしてもなお日に焼けます。
「日傘をさせばいいのでは」とおっしゃる皆様もいるかもしれませんが、日傘ではアスファルトの照り返しをさえぎることができません。恐いですよ~、アスファルトの照り返し。下手したら上から照りつける日差しよりも深刻なダメージを与えてきます。
というわけで、「マスク」は長年夏になる度にくちびるを赤黒く焦がし続けた私がようやく手に入れた「日差しよけの神器」なのです。
最近では花粉よけのためか、真夏でもマスクをしている方をお見掛け致します。しかし私がマスクをし始めたころは、真夏にマスクをする人は皆無でした。それはそれは不審な目で見られました。当たり前ですよね、体は薄着なのに顔面だけ完全防備(帽子・メガネ・マスク)なのですもの。「半そでにフルフェイスヘルメットで歩いている人と同じ怪しさである」という自覚はあったので、世間の(多少)冷たい目は気にしないようにしておりました。というより、暑くて暑くて世間の目を気にしている余裕は正直言ってありません。
真夏のマスクの中は蒸れきっています。体感温度は外気温に10度はプラスされます。マスクの形に汗をかきます。あんなに重ねづけした様々なお化粧成分がすべて溶け崩れてどろどろです。メイクが溶け崩れているのでこの時に日差しを浴びたら最期です。よって、さらに厳重にマスクをします。そして汗をかきます。エンドレスです。まさに「エンドレスマスク地獄」なのです。
エンドレスマスク地獄中は世間の目を気にしてはいられないのですが、交番の前を通りかかる時はいつも緊張しておりました。ただ、おかげさまで呼び止められたことはまだありません。これはあくまでも持論なのですが、「おばちゃんは少しくらい変な格好をしても怪しまれない」という気が致します。真夏の私はおしゃれをする心の余裕がなく、いつも「おばちゃん全開」です。その辺にある服を適当に着込みます。おばちゃんの必須アイテムであるアームカバーも欠かしません。
男性の「半そでフルフェイスヘルメット」と、おばちゃんの「顔面完全防備」は、本来なら同じ怪しさであるにも関わらず世間の目の冷たさが違うような気が致します。なんだかんだ言って、見る人は「まあ、おばちゃんだしね」「なりふり構わず日焼けを防ぎたいからあの状態なのでしょうね」という理由でおばちゃんの顔面完全防備を見逃してくれます。これが少しでもオシャレをしてしまったら事情は変わります。「オシャレには気を配るのになぜマスク?」「オシャレ以前に気にするところがあるんじゃない?」という理由で、世間は「オシャレ女子」のマスクを許してはくれません。そうなると、オシャレをしたい年頃でくちびるが焦げる娘さんは少しかわいそうです。
真夏になる度に「おばちゃんでよかった」と思います。日焼けに悩む皆様、もしよろしければ「エンドレスマスク地獄」と「おばちゃん化を受け入れる」覚悟の上で、真夏のマスクをお試しください。日差しに強い皆様、もしよろしければ真夏の顔面完全防備の人を見かけた際、少しでも早く涼しい場所にたどりつけるように祈って頂ければと思います。
ではまた!!
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