第4回品評会 最高金賞受賞 hottaraciiさんインタビュー(前編)

 消しゴムはんこファンの皆様、ごきげんいかがでしょうか。

 「消しゴムはんこの彫りの美しさとデザインを競うコンテスト」として開催される「国際イレイサースタンプ品評会」。6月2日に開催された第5回品評会において、chimney hankoさんが最高金賞に輝いたのは記憶に新しいところですね。

 今回はちょっと時間を巻き戻しまして、昨年12月2日に開催された第4回国際イレイサースタンプ品評会において最高金賞を受賞されましたhottaraciiさん(現:hottaracii twoさん)の受賞者インタビュー前編をお届けします。


第4回国際イレイサースタンプ品評会 最高金賞受賞

hottaraciiさん


― この度は最高金賞受賞おめでとうございます。はじめに受賞された際のお気持ちを教えてください。

hottaraciiさん:
 この度は栄誉ある賞をいただけた事、大変嬉しく思っています。そして会場にて貴重な一票を下さった皆さま、本当にありがとうございました。
 結果を知って口から出た言葉は「まさか私が⁉︎」ただこの一言でした。上位を目指して取り組んだものの、まさか最高金賞を取れるとは全く思ってもいなかったので驚き過ぎてその時はただ呆然としてしまいました。

― hottaraciiさんは初エントリーとなった第3回品評会での金賞受賞を経て今回頂点を極めたわけですが、ズバリ自信はありましたか?

hottaraciiさん:
 最高金賞に関しては先にも述べました通り全く持って自信はありませんでした。ただ、前回の作品より図案構成に時間をかけ、制作も焦らず出来るようにきちんと時間を確保したのもあり「上位には入賞する!」とかなり強い気持ちで挑みました。

― 入念な準備、というか制作に必要な時間をしっかり確保されて臨まれたということですね。基本的なことですが、とても重要なポイントでもありますよね。続きまして今回のエントリー作品についてお伺いします。作品前回金賞を受賞された作品と同様に、今回のエントリー作品にも壮大なテーマが含まれていらっしゃると感じました。個人的にテーマをお訊きするのをとても楽しみにしておりましたので、今回の作品のテーマと込められた想いをお聞かせいただけますか?

hottaraciiさん:
 今回の作品のテーマは〝静〟です。この図案を描くにあたりインスピレーションを受けたアーティストの曲がありまして、それをエンドレスリピートして思い感じるままに描いてみました。

― それはなかなか興味深いですね。よろしければどなたの曲か教えていただけますか?

hottaraciiさん:
 KYTEの〝Boundaries〟という曲なのですが、冬になると必ずと言っていいほど聞いています。ただ同じフレーズを繰り返しているだけなのに一つの音楽として成り立っている不思議な曲で、壮大で叙事的であり、冷たい静けさの中に引き込まれるようなとても美しい曲です。その曲から私が受け取ったイメージを具現化したものが今回の作品です。凛とした冬の空気感と冷たい静けさをこの作品には詰め込んであります。

― なるほど。

hottaraciiさん:
 それから〝見る人により受け取り方が違う〟そんな図案を心がけました。

― これもまた興味深いお話ですね。具体的にはどの部分でしょうか?

hottaraciiさん:
 クマと女の子が抱き合って幸せそうに眠っている、または雪の降る寒空の中凍えながら身を寄せ合いその時を待っている…この作品は人それぞれ違う見方が出来ます。私自身、絵画やアート作品から作者の意図を汲み取ったり解説を読むのが好きなもので、この作品を通して同じように楽しんでもらえたら…という気持ちも込めています。

― なるほど。私の場合は「寒空の中凍えながら…」というイメージは浮かんできませんでしたが、こうしてお話をお伺いすることで「なるほど、そういう切り口もあるのか」という気持ちで作品を堪能することができますね。とても深いお話をしていただきありがとうございます。ところで、今回の作品は印面の全体にデザインを施していますが、その中に空間となる余白をしっかり確保したhottaraciiさんらしいデザインだと一目見て感じました。その点についてお話しいただけますか?

hottaraciiさん:
 品評会というものを自分なりに分析し今回は印面を埋める事に力を注ぎました。というのも、今までの上位入賞作品が余白を残さず図案いっぱいで埋め込まれた作品が多かったからです。

― hottaraciiさんのおっしゃるとおり、私もはがきサイズの中に「詰め込んだ」印象の作品が多いと感じています。開催を重ねるごとにその傾向が強まっているとも思っています。

hottaraciiさん:
 私は作品の余白をとても大切にしているのですが、今回はあえて自分のスタイルを封印し、自己分析した〝品評会〟というものが合っているのか確かめたくて挑んだ作品でもあります。印面全体にデザインは施しつつも部分的には小さいながらも余白を入れ私らしさは失わないように心がけました。

― そうでしたか。hottaraciiさんなりの解析と解釈による綿密に計算されたデザインだったんですね。そしてそれが最高金賞受賞という結果に結びついたのですから本当に素晴らしいですね。恐れ入りました。


 次回、中編に続きます。どうぞお楽しみに。


次回「第6回国際イレイサースタンプ品評会」は2019年12月8日「東京アートクラフトフェスタvol.2」内で開催!
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出品方法は東京アートクラフトフェスタ公式サイトをご覧ください。

https://www.artcraftfesta.com/contest


(国際イレイサースタンプ品評会開催委員長 中鉢久夫 / 2019年8月9日配信)

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