第4回品評会金賞受賞「ともたろさん」インタビュー 前編

 消しゴムはんこファンの皆様、ごきげんいかがですか?

 この度、昨年12月9日に開催された「第4回国際イレイサースタンプ品評会」において最高金賞および金賞を受賞された作家の皆様にインタビューを敢行いたしました。作品の制作秘話や独自のテクニック、そして普段の作家活動等について等、普段はお聞きすることができないような内容の濃いお話をたくさんお伺いすることができましたので、詳細を余すことなく皆様にお伝えしたいと思います。

 今回は、嬉しい初の金賞受賞とともにデザイン賞とのダブル受賞に輝いた「ともたろさん」のインタビュー前編をお届けします。


ともたろさん


- この度は金賞ならびに特別賞のデザイン賞とのダブル受賞、本当におめでとうございます。はじめに受賞された際のお気持ちを教えていただけますか?

ともたろさん:
 ありがとうございます。今回はどんな作品が入賞しているのかな、と一作品ずつの発表を楽しみながら拝見していました。そんな中、自分の作品が金賞入賞、そのうえデザイン賞までいただけて、嬉しさがくるよりも先に驚きの連続でなかなか実感がわかず不思議な感覚でした。

- デザインの繊細さはもちろんですが、その繊細さを印面にしっかりと表現されていたのがとても印象的な作品でした。ところで、ともたろさんは今回が2回目の品評会エントリーで見事金賞と特別賞のダブル受賞という素晴らしい結果を収められたわけですが、初エントリーとなった第3回品評会のエントリー時と比較して制作面やメンタル面での変化というのはありましたか?

ともたろさん:
 前回は「新参者だけど今出来る限りの力で挑戦」という意気込みで挑んでいました。会場で多くの作家さんたちの作品と一緒に自分の作品を並ばせていただき、作家さんそれぞれの世界観がこんなにもたくさんあるのだな、と自分の目で見て感じました。

- なるほど。

ともたろさん:
 そして今回は、「今出来る限りの力で挑戦+惹きつける魅力とは」を考えました。受験生みたいですが前回の挑戦をふまえ、”傾向と対策”のような感覚で挑んでいたように思います。

- 面白いお話をお聞かせいただきありがとうございます。受験生に例えておられましたが、品評会はコンテストであり選抜競技会という側面が少なからずあると自分は考えておりますので、作戦としての「傾向と対策」を練るのはむしろ良いことと思いますし、今回のダブル受賞はともたろさんの作戦がドンピシャで当たったということになりますね。続きまして、そんな今回のエントリー作品のテーマや、ともたろさんが作品に込めた想いなどを教えていただけますか?

ともたろさん:
 どんな作品にしようかと考えたとき、漠然と「アフロ彫りたい!」と思いました(笑)。

- 漠然と、ですか(笑)。

ともたろさん:
 はい(笑)。そしてアフロのキャラクターをメインにデザインを考えながら、さらに自分の苦手分野に挑戦してみようとも思いました。細い線、細かい図案、今まで描いたことのないデザインなどです。

- ご自身が得意とするものではなく、あえて苦手なものに挑戦するというのは大きな冒険といえますし、それを品評会のエントリー作品で実践するのはものすごくチャレンジングな試みですよね。そして挑戦がダブル受賞という結果をもたらしたというのもとても素晴らしいことと思います。ところで、今回の図案に登場しましたアフロヘアが印象的なかわいらしいキャラクターですが、キャラクター名やキャラクター設定等はございますか?

ともたろさん:
 今回のキャラクターははんこが完成してから「メリノちゃん」と名前をつけました。もふもふのヘアスタイルと相まって、表情が羊っぽく見えてきたためです。

- 「メリノウール」のメリノ、ですね。

ともたろさん:
 はい。最初からしっかり設定を決めていたわけではありませんが、メリノちゃんは動物や植物など全てに愛情を注いでくれる存在、とイメージしてデザインしました。

- ありがとうございます。では、デザイン画を描く際に注意していることや、ご自身が心がけていることなどはございますか?

ともたろさん:
 納得するまで何度も手直しをして妥協をしないことだと思います。

- 妥協をしない、ですか。

ともたろさん:
 はい。私の場合ですが、細部まで細かく丁寧に図案が描けるように、ハガキサイズの図案を描くときはA4用紙に大きく描いてから図案を縮小しています。

- そこまでされているんですか!

ともたろさん:
 そして描き上げたら遠目から見たときのバランスまでこだわります。はんこは彫り始めたら修正がきかないので、特に細かい作品を作る場合はトレースまでの工程をどれだけ丁寧に行うかがとても大切だな、と作品を通して実感しました。

- こうしてお話をお伺いしているだけで、ものすごいこだわりの過程を経て作品を制作されていらっしゃることがひしひしと伝わってきます。では、作品の制作過程において苦労した点、また苦心したことがありましたら教えていただけますか?

ともたろさん:
 頭の中でイメージしたデザインを実際に描き出すことが難しかったです。

- といいますと?

ともたろさん:
 「漠然と彫りたいイメージはあるのにうまく絵にできない」という感覚です。そして、彫り始めてからはあまり時間が無かったので「失敗できない」という緊張感がつねにありました。

- 今のお話から、かなりのプレッシャーを感じながら制作されていたという印象を受けましたが、そのようなプロセスを経たことが今回のエントリー作品に良い影響として表れているように感じます。ところで今回の作品についてですが、一目見てひたすら緻密に描かれたアフロヘア―とドレスに見立てた花を、ものすごく丁寧な彫りで表現されていることに目が奪われました。このような細かい部分や細い線を彫るために、普段から心がけていることや何か工夫されていることがありましたら教えてください。

ともたろさん:
 今回の様な細部まで密にこだわった作品というのが実は初めてなので、完成した作品がどんな風合いになるのか楽しみと不安が半々の中、はんこを彫っていました。デザインが細かい分、トレース作業をとにかく気をつけて描き上げました。細かい箇所はトレースの線の細さで決まると思っていたので。

- 先ほどお話されていた「妥協をしない」というところにつながるポイントですね。

ともたろさん:
 そうですね。トレース作業も彫る作業もとにかく途中で投げやりな気持ちにならないよう、丁寧に丁寧にと心がけて作りました。


 次回、後編に続きます。どうぞお楽しみに。


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消しゴムはんこの彫りの美しさとデザインを競うコンテスト「国際イレイサースタンプ品評会」
6月2日開催の第5回品評会で最高金賞に輝くのは誰の作品でしょうか?
どうぞご期待ください!

https://www.artcraftfesta.com/contest


(国際イレイサースタンプ品評会開催委員長 中鉢久夫 / 2019年2月20日配信)

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